最近になってショートカウンターという言葉をよく見るようになった。ただのカウンターにショートが付くだけで一体どう変わるのだろうか?その言葉の意味と戦術を考えてみよう。


 ロングカウンターとショートカウンターの違い
カウンターとはそもそもボールを奪ってからすぐに相手陣内に攻めこむ戦術だ。このボールを奪う位置が大事で、自陣の深い位置でボールを奪った場合は相手ゴールまでの距離が長いのでロングカウンターと呼ばれる。反対に相手陣内のより前のポジションでボールを奪えれば、ゴールまでの距離が近くすぐにチャンスになりやすい。これをショートカウンターと言う。要するにボールを奪った位置の違いでこう呼ばれている。


同じカウンターでも全くの別物
ロングカウンターとショートカウンターは全くの別物だ。

ロングカウンターの場合はとにかく相手を深くまで攻めこませる必要があり、ある程度ポゼッションを相手に与え引いて守らなければならない。さらにボールを奪ったら一気にロングボールでフォワードにパスを通し、個人技でゴールを狙わせる。

ショートカウンターの場合は全く逆で、とにかく前線からプレスをどんどんかけて中盤より前でボールを奪うようにし、奪ったらすぐさま周りが動き出してパスを繋ぎながらゴールを目指す。当然DFのラインは高くなるし、引いて守ることとは全くの別物だ。


ショートカウンターのリスク
ショートカウンターは常に危険を伴う。プレスをかけるということは、自分の後ろにスペースを作るということだ。プレスに失敗してボールを奪えなかった場合、相手に大きなチャンスを与えてしまう可能性がある。だからこそ、チーム全体として穴がないように距離感を短く保ちながら戦略的なプレスをかける必要があり、よく訓練されたチームでなければこの戦術を安易に取れないのだ。


最近流行のワケ
 この戦術をいち早く取り入れたのはレアルマドリードである。クリスティアーノロナウドやベンゼマ、ディマリアといった破壊力のある選手を前線に配置し、訓練されたチームプレスからボールを奪ってショートカウンターを決めていった。

引いて守っているチームと戦う場合は、サイド攻撃やクロス、ミドルシュートなど攻撃のパターンが限られていたが、ショートカウンターを徹底することでボールを奪ってから速攻でゴールを決めるというシーンが目立ってきた。

もともとレアルマドリードがこの戦術を取り入れたのは、バルセロナ相手に引いて守るだけのサッカーをしていては勝てないと思い、積極的に取り入れたものだった。この戦法は他のチームとの対戦でもかなり有効だったため、その後のレアルマドリードの戦い方の基本となり、世界各地でこれを手本にするチームが増えていくことになった。


そう簡単な戦術ではない
しかし戦術としてショートカウンターを実践するには、チーム全体の運動量や連動性・距離感、それにフォワードの質も大事になる。日本のチームでこれを取り入れようと思ってもすぐには難しいのが実情だ。闇雲にプレスをかけるだけでは必ず守備の穴が出てきて、相手に攻撃するチャンスを与えてしまうだけだ。それでも、チーム戦術として意識しながら日々練習を重ねれば、少しは形が見えてくるかもしれないが。


とにかく、遅攻よりも速攻が求められる時代になり、全体として点が入りやすくなった。 こういった流れの中で、ショートカウンターを目にする機会はさらに増えていくだろうし、見ている側もたくさん点が入って面白いと感じる試合が増えてくるはずだ。