早くも日本では次の代表監督探しが話題に上がってきた。W杯前まではザック解任の声すらほとんど無かった、のにである。やはり結果が全ての世界なのだ。
そんな中、次の2人が代表監督の本命に上がってきた。
■ハビエル・アギーレ
メキシコ人であるアギーレ氏は、現役時代にメキシコ代表に選ばれたことがある名プレーヤーでもある。しかし彼が注目を受けるのはもっぱら監督になってからのことだ。過去に2回もメキシコ代表の監督を経験しており、チーム監督としても弱小チームであったオサスナをCL出場に導くなどその監督手腕は評判が高い。ちなみにメキシコ代表は彼が指揮をとった2回とも決勝リーグに進んでいる。
■ビクトル・フェルナンデス
スペイン人である彼は、まだ若い30歳になる前からスペインリーグ下部チームで監督の経験を積んできた。そして30歳という若さでレアル・サラゴサのAチームを指揮し、リーグ3位、カップ戦のコパ・デル・レイ優勝など次々と輝かしい成績を残し、話題となる。 そして2004年にはポルトガルの強豪FCポルトの監督としてトヨタカップで優勝し、その後も色々なチームで監督を努めている。
■2人の戦術について
アギーレ氏 の戦術は「堅守速攻」と言われることが多い。しかしガチガチに引いて守ってカウンターを狙うわけではなく、積極的なプレスから相手を囲い込み攻撃をさせず、ボールを奪ってカウンターをするスタイルだ。
この点に関しては、ビクトル・フェルナンデス氏の戦術も似ている。彼のスタイルは古き良きスペインサッカーを彷彿とさせる超攻撃的サッカーで、前線と中盤の選手が積極的にプレスをかけることで強力なカウンターを可能にする。
しかし明らかに違うのは、前線にかける人数だろう。アギーレ氏の戦術は基本的にカウンターを素早くコンパクトに行おうとするが、フェルナンデス氏の場合は人数をかけて超攻撃的な速攻カウンターを行う。サイドの選手の位置も高く、プレッシャーをかけるラインが高いのが特徴だ。アギーレ氏はあくまでも堅実な守備と速いパス回しをしながらカウンターを伺うスタイルで、フェルナンデス氏の超攻撃的サッカーとは趣が違う。
■采配について
30歳という若い頃から監督を経験しているスペイン人のフェルナンデス氏は、その攻撃的サッカーだけではなく采配に関する評価も高い。必要なタイミングで必要な選手を的確に交代でき、また不調に陥った選手のケアなども長けている。
それに比べてアギーレ氏はいささか不安が残る。今回のW杯でも好調な選手をあえて外し、毎試合キャプテンをコロコロ変えるなど、その采配にはかなり批判があった。
■代表監督経験の有無
しかし、フェルナンデス氏は代表の経験がないのが不安要因だ。その点、アギーレ氏は2度もメキシコの代表監督を経験し、結果も出している。監督として評価が高くても、そのまま代表チームで成功するとは限らないのは、ザッケローニを見ればよくわかることだ。
しかし、代表監督未経験のフェルナンデス氏に期待する気持ちもわからないではない。一度あの超攻撃的でファンタスティックなサッカーを見ると、その魅力に取り憑かれても不思議ではないし、また日本にとってもパスワークだけでは打開できない局面が増えていることから、新たな攻撃パターンを模索したいというのもあるだろう。
いずれにせよ、 今後の日本サッカーの行く末を担うであろう次期監督は、慎重に選んで欲しいものだ。少なくともただの実績だけで選ばずに、今後の日本代表のサッカースタイルや日本への適正まで考えて選ぶ必要がある。