060727_01

FIFAは2014年のブラジルW杯の放送権料収入が現段階で17億ドルを超えたと発表した。その中でも日本が出した額は実に約4億ドルで、これはアメリカのESPNの1億ドル、英国のBBCとITVが出した3億ドルと比べても非常に多い。出展

なぜ日本でここまで放送権料が高騰しているのか。



放送権はどうやって決まる?

今から15年以上前、FIFAはどの国にも放送権を安く売っていた。しかし、最近になって放送権の取引を直接交渉から入札方式に変更し、商業的な側面を強くしていく。入札方式では、各国の放送局ごとに入札で競わせることで、どんどん値段が高騰していくことになった。

日本の場合は電通代理店として一括で入札することになっている。これは、各テレビ局の機会均等や入札額の高騰を抑えるという狙いがあるようだ。



日本で高騰し続ける理由

日本が1998年のフランスW杯で支払ったのはわずか6億円だった。今回のW杯で支払った400億円と比べると非常に少ない。ちなみに2010年は約200億円である。高騰するのはもちろんFIFA側の意向もあるのだが、なぜ日本でここまで高騰するのか。

近年の日本ではサッカー人気が急拡大し、大きなビジネスチャンスとなっている。年間を通しても、視聴率が50%を超えるような番組はW杯の日本戦以外には見当たらない。 これをいいことに、代理店である電通はどんどん値段を釣り上げていった。しかも、どれだけ額をあげてもNHKという気軽に大金を出してくれる局がおり、今回も実に全体の70%である280億円をNHKが負担している。

テレビ業界が不振と言われる中、W杯の日本戦は救世主のようなものだ。視聴率が50%をこえると莫大な広告収入が見込め、大金を叩いてでも放送したいと考えるようになった。この結果、代理店の電通も値段を釣り上げ安くなり、日本の放送権料はどんどん高騰しているのだ。しかし、電通がマージンとしていくら取っているのかは定かではなく、値段を釣り上げてばかりでは不信感が募っても仕方がないだろう。

このまま高騰が続くようであれば、放送権料を払えない局も出てくるであろう。現に今回はスカパーが放送から撤退している。それに、広告料が跳ね上がりすぎるとそもそも広告を出してくれる企業が見つからなくなる可能性もある。そろそろFIFAも高騰しすぎる放送権料を抑える仕組みを考えだすべきではないだろうか。